はまゆうの会

宮型霊柩車

 かつて日本は「野辺の送り」で葬列を組み、お神輿のような形の「輿(こし)」に棺をおさめ男たちが担いで大切に運びました。自動車が普及すると、ご遺体を運ぶ役目が輿から自動車に変わりました。当初は「ご遺体を車の積み荷にするなんて・・・」と抵抗があったようですが、せめて弔いの気持ちを示したいという事からご遺体を大切に運ぶ「輿(こし)」を車に乗せることで、「宮型霊柩車」が登場しました。

しかし、現在では時代の変化で宮型霊柩車の需要が減少し、輿のない洋型やミニバンタイプの霊柩車が増えてきました。宮型霊柩車が無くなってしまうと心配もありますが、実はモンゴルではこの宮型霊柩車が大人気だそうです。

 きっかけは日本で活躍していたモンゴル人力士が帰国したときに、現地の僧侶に「日本には寺の形をした車がある」と紹介したことからでした。その後2003年に日本の葬儀社が寺院に訪れた際、僧侶から「あの宮殿のような車を譲ってほしい」と懇願されて寄贈したのが始まりとなったそうです。

モンゴルでは亡くなった方を盛大に弔う習慣なので、豪華絢爛な装飾が施された宮型霊柩車はまさにうってつけでした。お葬式で使用する為の予約は常にいっぱいだそうです。
また、モンゴルでは社会主義政権時代に仏教が迫害され多くの寺院が破壊されました。仏教復興のために宮型霊柩車は、「走るお寺」として信仰のよりどころになると僧侶たちの支持を集め、仏教のイメージアップにも寄与しているそうです。