はまゆうの会

お香典について

香典は正しくは「香奠」と書きます。「奠」という文字は「供える・祀る」という意味があり、本来はお金ではなく供養のためにお香を贈りました。しかし、実際にはお米や野菜が多かったようです。

ご遺族は死の忌みのため家にこもらなければなりませんでした。外からの物資調達ができないので近親者が「一俵香奠」「一升トムライ」「二升トムライ」などというように、関係に応じて米や麦を贈っていました。
喪主を務めない故人の実子は米か麦を一升丸ごと差出、更に日本酒を一樽を付けます。一般の人々は「村香奠」といって米を一升か二升、野菜を添えていたところもあったそうです。玄米の方が日持ちするという事で、白米よりも玄米の方が多かったようです。

現在でもこの風習が残っている地域があるそうです。家の壁や塀などに「玄米一俵」と「住所・芳名」が書かれた白い紙がたくさん貼り出されています。
また「施行(せぎょう)」といって、村中の人に食事をふるまうので大変な物入りになります。お葬式を行うには多くの人手が必要で、村の人々が葬具を用意し土葬や火葬を行うなど役割を担っていため、それを労うために食事をふるまっていたのかもしれません。

喪家は香典帳に記載し、もらった人の家に不幸があった時には香典帳を参考にお返しをしていたそうです。よく香典は預かり物と言いますが、この事柄がいわれなんですね。